仕事ができる人とできない人の違い【前編】

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一般社団法人日本経営心理士協会代表理事の藤田です。
就職をした後、必ず問われるのが「仕事ができるかどうか」ということです。
「勉強ができる」ということと、「仕事ができる」ということは別物であり、勉強ができても仕事ができない人もいれば、勉強ができなくても仕事ができる人もいます。
そこで今回は2回にわたって、仕事ができる人とできない人の違いというテーマでお話ししていきます。 
私はこれまで経営者として、経営コンサルタントとして、多くの人と関わってきました。
その中で、「仕事ができる人に共通すること」、「仕事ができない人に共通すること」を分析してきました。その結果、仕事ができる人とできない人には、いくつかの明確な違いがあることが分かりました。そのうち2つについてお話ししたいと思います。 
藤田講師
藤田耕司(ふじた こうじ) 氏
(社)日本経営心理士協会代表理事、経営心理士、公認会計士、税理士
年商300億円超の企業から個人事業主まで、のべ1,200件以上の経営相談を受け、労務問題から営業、マーケティングなど、幅広い分野で人間心理と数字の両面から経営改善を行う。
その経営相談事例を基に、ビジネスで成功を再現し、失敗を回避する手法を経営心理学として体系化することで経営指導の成果を大きく高める。

また、経営心理学を体系的に学び、「経営心理士」の資格を取得するための経営心理士講座を実施。その講座の成果が口コミで広がり、日経新聞をはじめ複数のメディアから取材を受ける。金融庁や一般企業、税理士会等の士業団体などでの研修活動も行い、年間の講演回数は250回を超える。

◆藤田先生が担当している『LEC 経営心理士プレセミナー』
https://www.lec-jp.com/keieishinri/

成長が早い人がやっていること

組織行動学者のデービット・コルブ氏は、人の成長のサイクルを表す「経験学習モデル」を提唱しました。
この経験学習モデルは、人が学習し、成長していく過程を、①経験→②省察→③概念化→④試行の4つの要素からなるサイクルとして説明しています。
以下、この4つの要素についてご説明します。 
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経験:何か具体的な経験をする。
省察:それがうまくいった場合はなぜうまくいったのか、失敗した場合はなぜ失敗したのかについて振り返り、その原因を分析する。
概念化:②の省察の結果から、うまくいくためのポイントやコツ、失敗しないためのポイントやコツを概念としてまとめ、頭の中で整理する。
試行:③の概念化によって整理した内容を別の機会に試し、その内容が正しいかどうかを検証する。 
成長が早い人は何かを経験した際に省察と概念化を行い、うまくいった場合は成功を再現することができ、失敗した場合は同じ失敗を二度としないようしていきます。
一方、成長が遅い人は何かを経験しても、それがなぜうまくいったのか、なぜ失敗したのかについて省察せず、概念化もしないため、うまくいった場合でも次また同じことをやってもうまくいくとは限らず、また失敗した場合は次もまた同じ失敗を繰り返したりします。 

仕事ができる人とできない人の違い

POINT  経験学習モデルを回す頻度
仕事をしていくにあたり、この省察、概念化をこまめにやる人とまったくやらない人とでは、その後、仕事ができるかどうかに大きな開きができていきます。この点が、仕事ができる人とできない人の違いの1つ目です。

何かを経験した際に、なぜうまくいったのか、なぜうまくいかなかったのか、省察して原因を分析し、分析の結果からその仕事をする上でのポイントやコツを明確にし、次の機会に試すことでそのポイントやコツが正しいかどうかを検証する。
次の機会に試して、ポイントやコツの内容がずれていれば軌道修正し、その精度を上げていく。

仕事ができる人はこのサイクルを頭の中で回す頻度が多く、様々なことに対して素早く要領を掴んでいきます。
そのため、仕事ができる人になるためには、何か仕事を経験した際には、省察、概念化をするように心がけて下さい 
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POINT 一手先を読んでいるか
仕事ができる人とできない人の違いの2つ目は、「一手先を読んでいるか」ということです。

仕事ができる人は常に一手先を読んで行動します。
この先の展開はどうなるかをイメージし、その状況において滞りなく仕事が進められるように事前に動くことができています。

例えば、上司と外出する際には、上司が来るタイミングでエレベーターが開くように先にエレベーターのボタンを押しておきます。
タクシーを呼んだ際は、上司が乗ったタイミングですぐに出発できるように、先に運転手さんに行き先を伝えておきます。
お客様の資料の内容を基に書類を作成する場合には、どういう資料が必要になるかを先に網羅的にリストアップし、前もって資料の準備をお客様に依頼しておきます。
営業に行く際には、お客様から質問されそうなことについて予め調べておき、質問されても的確な説明ができるように準備しておきます。 
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仕事ができない人の特徴

仕事ができない人は、一手先を読むことなく、ただ言われたことをやろうとします
そして、仕事を進めていくうちに余計な手間がかかったり、その場ですぐ対応できなかったりします。

書類の作成を任された、ある新人さんの話です。
彼は書類を完成させるためには、どういった資料を入手する必要があるのかを事前に確認することなく、書類の作成を始めました。
そして、書類の作成が進むと、「あ、この資料が必要だ」とその都度、お客様に資料の準備を依頼していました。
締め切りが明日に迫ったタイミングでまだ資料が足りないことが分かり、お客様に「今日中に資料を準備してもらえませんか」と依頼したところ、「急にそんなこと言われても困ります!」とクレームを言われてしまいます。
その後、上司がお客様に謝り、何とか資料をその日のうちに用意していただきました。

一手先を読む人は、締め切り間近の資料の急な依頼はお客様に迷惑がかかるということを想定し、そうならないように事前に必要な資料を網羅的にリストアップし、時間に余裕を持って依頼しておくでしょう。 
POINT 一手先を読むことの重要性を学習する
こういった失敗を経験した際、先にお話しした経験学習モデルのサイクルを回せる人は、なぜこのような失敗をしたのかについて省察し、「事前に必要な資料をリストアップして準備を依頼しておかなかったからだ」とその原因を明確にします。

そして、資料を作成する際のポイントとして、「必要な資料を網羅的にリストアップし、事前に依頼しておく」ということを概念化します。

この概念化の内容を次の機会で試し、事前に資料を網羅的に依頼しておくことで締め切りまでにスムーズに書類作成を終えることができたという経験をすると、概念化したこのポイントは間違いないと確信し、自身の中でポイントが確立されます。
こうやって経験学習モデルのサイクルが回され、学習していきます。

こういったポイントをいくつも確立していくことで「仕事ができる人」になっていきます。

一方で、経験学習モデルのサイクルを回さない人は、なぜ失敗したのかについての省察をせず、また締め切り間際に急な依頼をしたりします。
これが学習していないということであり、そういう人はなかなか「仕事ができる人」になることは難しいでしょう。 
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仕事ができる人になるためのポイント

以上の内容から「仕事ができる人」になるために大切なことをまとめます。
▶何かを経験したら、成功・失敗の原因を分析し、自分の中でポイントやコツとしてまとめ、次の機会に活かすという経験学習モデルのサイクルをなるべくこまめに回す。
▶常にその先の展開をイメージし、その先の状況においても滞りなく仕事が進められるように一手先を読む。

就職し、仕事が始まると慣れないことばかりで大変なことも多いと思います。
そのような中でも、いち早く仕事に慣れ、「この新人さん、仕事できるな」と上司に思われるように、まずはこの2つのことを意識してみて下さい。 

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