どの会社で働くかを決める最も重要な要素~「逆面接」のススメ~

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一般社団法人日本経営心理士協会代表理事の藤田です。

どの会社で働くかを決める際に、皆さんはどういった要素を重視するでしょうか。
仕事内容、業界、会社の知名度、給料、福利厚生の充実度、休日の多さ、身に付けられる経験やスキルの内容、研修制度の充実度…。その他にもさまざまな要素が考えられます。

ただ、さまざまな会社の経営を見てきて、どういった会社で働くべきかを考える上では、これらの要素よりも重要な要素があると考えています。そこで今回はこの要素についてお話しすると共に、要素に関する面接の心得をお話しします。
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藤田耕司(ふじた こうじ) 氏
(社)日本経営心理士協会代表理事、経営心理士、公認会計士、税理士
年商300億円超の企業から個人事業主まで、のべ1,200件以上の経営相談を受け、労務問題から営業、マーケティングなど、幅広い分野で人間心理と数字の両面から経営改善を行う。
その経営相談事例を基に、ビジネスで成功を再現し、失敗を回避する手法を経営心理学として体系化することで経営指導の成果を大きく高める。

また、経営心理学を体系的に学び、「経営心理士」の資格を取得するための経営心理士講座を実施。その講座の成果が口コミで広がり、日経新聞をはじめ複数のメディアから取材を受ける。金融庁や一般企業、税理士会等の士業団体などでの研修活動も行い、年間の講演回数は250回を超える。

◆藤田講師の詳細なプロフィール
◆藤田講師が担当している『LEC 経営心理士プレセミナー』
https://www.lec-jp.com/keieishinri/

どの会社で働くべきかを考える最も重要な要素

転職活動や就職活動において、どういった会社で働くかを考えるときにさまざまな要素を検討すると思います。仕事内容や業界、会社の知名度、給料、福利厚生の充実度、休日の多さ、身に付けられる経験やスキルの内容、研修制度の充実度などなど。

私が経営コンサルタントとしてさまざまな会社の人たちを見てきた経験から、どういう会社で働くべきかを考える上で最も重要だと思う要素をお話しすると、それは「企業文化」です。
企業文化とは、その会社に根付いている考え方や価値観、仕事に対する態度、お客様に対する姿勢、上司・部下に対する姿勢といった多様な要素が含まれます。

そもそも、人間は「同調性」という性質を持っています。
これは集団内の大多数の人々が示している行動、態度、集団の標準、規範などに自分の行動や態度を合わせようとすることをいいます。一言でいえば、人は良くも悪くも組織の色に染まるということです。

例えば、挨拶する習慣がある人が挨拶をしない企業文化の会社に入ると、会社で挨拶をしても周りの人たちが挨拶をしないため、だんだん挨拶をしなくなっていきます。
逆に、挨拶する習慣がない人が挨拶をする企業文化の会社に入ると、周りの人たちが挨拶をするため、次第に自分も挨拶をするようになります。

このように、どういう会社に入社するかで、その人の考え方や価値観、人間性は徐々に変化していきます。
そして、考え方や価値観、人間性がどのように変化するかは、その人の人生に大きく影響するのです。
同調整

良い企業文化とはどういった文化なのか

では、どういった企業文化が良い企業文化といえるのでしょうか。

まず一つ言えるのが、「人を大事にする文化」です。
具体的に言えば、思いやりの気持ちを持って行動するということです。

例えば、部下に対して思いやりの気持ちを持っていれば、部下にストレスなく気持ちよく働いてもらえるように、より高いモチベーションを持ってもらえるように部下と関わります。お客様に対して思いやりの気持ちを持っていれば、お客様の立場に立って物事を考え、より喜んでいただけるように、より高い満足度を感じていただけるように関わります。 
良い企業文化としてもう一つ重要なのが、「人を育てる文化」です。

人を育てる文化が根付いている会社では、上司が部下を丁寧に指導します。そして、積極的に部下に仕事を任せ、分からない点や不安な点はしっかりフォローし、部下に仕事を成し遂げさせることで達成感ややりがいを味わってもらいます。もし自分の仕事が忙しくても、部下の面倒を見ることが疎かになってはいけないという意識が自然と働きます。なぜなら、自分も上司から手厚く面倒を見てもらっているので、部下の面倒をしっかり見ることはこの会社では当たり前のことだからです。

この「当たり前」の感覚こそが、企業文化なのです。 
後輩を指導する
そして良い企業文化が根付いた会社の特徴としてもう一つ挙げられるのが、尊敬する上司や好きな上司が多いということです。人を大事にし、親身になって育てる方は、人から尊敬され、好感を持たれやすいのです。 

「上司から受けた恩は部下に返す」

私が独立する前に働いていた会社は人を育てる文化が色濃く根付いた会社でした。非常に忙しい現場でしたが、それでも上司たちは親身に丁寧に指導をしてくれました。

新たに仕事を任される際には、進め方を具体的に教えてくれ、参考になる資料やマニュアルまで送ってくれました。
分からない点を質問しに伺うと作業の手を止めて聞いて下さり、丁寧に教えてくれました。
こちらが質問しに行かなくても、「藤田、分からないところない?大丈夫?」と常に気にかけてくれました。
私の仕事の進捗が遅い時は、一緒に深夜まで残ってフォローしてくれました。

あまりに親身に指導してくれるので、私は上司にこんな質問をしたことがあります。
「何でこんなに丁寧に指導してくださるのですか?」

すると上司はこう答えました。
「自分も上司から丁寧に指導してもらったからね。上司から受けた恩は部下に返すというのがうちの会社では当たり前のこと。だから、藤田も部下ができたら丁寧に指導してやってくれ」

この答えを聞いた時、心からこの会社に入って良かったと思いました。

以後、私は部下に対してもできるだけ親身に丁寧に指導しようと心掛けました。
この会社の企業文化は私の考え方や価値観、人間性に大きな影響を与えてくれました。
人間的にも大きく成長できたと感じています。

「あなたは人として大事なものを忘れてる」

一方で、人を大事にしない企業文化の会社で働いた経験のある知人からこんな話を聴いたことがあります。

上司から厳しい営業のノルマを与えられ、営業の仕方に関する研修や指導もほとんどなく、大量にパンフレットを渡されて「売ってこい」と一方的に言われる。
ノルマを達成できなかったら厳しく詰められる。
上司は社内ではお客様のことを「客」と言い、お客様に対する敬意は全く感じられない。
「お客様に喜んでもらおう、お客様の満足度を高めよう」という思いやりの気持ちはなく、いかに自分たちが儲けるかしか考えていない。

そういう会社で長く働いていると、いつの間にか自分もお客様のことを「客」と呼ぶようになり、自分たちの儲けだけを考えることに違和感を覚えなくなっていた。

ある時、奥さんから「あなたは随分変わった。人として大事なものを忘れてるんじゃない」と言われ、はっと気付いたといいます。そして彼はこのままこの会社にいては人間としてダメになると感じ、その会社を辞めました。  

その会社の企業文化をどう把握するか?

このように、どのような企業文化の会社で働くかは、人生に大きく影響する重要な要素です。そのため、今働いている会社に良い企業文化を感じるかどうか、この企業文化に染まることについてどう思うかは、離職、転職を考える際によく検討すべきでしょう。

では、就職や転職に当たっては、その会社の企業文化をどのように把握すればよいのでしょうか。

まず、インターネットで口コミ、評判を検索すれば、一定の情報は得られます。
それから、面接の際には面接官の雰囲気、態度を観察してみて下さい。
その面接官がその会社の企業文化を体現しているとは限りませんが、少なからずその会社の企業文化に影響を受けているはずです。

特に話の聴き方に注目してみて下さい。こちらの言葉をどこまで丁寧に受け取ってくれているか。しっかり相づちを打ってくれているか、目線を合わせてくれているか、こちらの言葉を最後までさえぎらずに聴いてくれているか、共感を示してくれているかなど。

話の聴き方にはその人の人間性が出ます。そこにその会社の企業文化が垣間見えたりします。

OB、OG訪問など、フランクにその会社の方と話せる機会があれば、次のような質問をしてみるのもいいかもしれません。
「御社の雰囲気を一言で言うとどんな感じですか?」
「前職または大学で後輩を育てることに力を入れてきたんですが、人を育てる上ではどういうことが大事だと思いますか?」
「尊敬する上司の方はいらっしゃいますか?」

この質問にどう答えるかだけではなく、質問をした瞬間の相手の表情や反応をよく観察することも大事です。そういったところに、「人を大事にする文化」「人を育てる文化」が根付いているかどうかがうかがい知れたりします。
企業文化を把握する

面接は会社が応募者を面接する場ではありますが、応募者が会社を面接する場でもあります。
しっかり企業文化を見極めようという意識で面接に臨むのが悔いのない就職をする上でとても重要なことですので、ぜひ意識してみて下さい。